NHK『ばっちゃん〜子どもたちが立ち直る居場所』

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またNHK。好きだな。NHK推しというほどでもないんだけど。
前クール「勇者ヨシヒコ」とかめっちゃ楽しんで見てたけどw

保護司という仕事を初めて知った。ボランティアというからすごい。この人が子供のために用意する食事の費用はお役所から補助は出ないんだろうか。寄付はあるらしいけど。

8年の追跡取材らしい。最初小学生として出ていた子が、16歳になっている。

彼は敬語も話せるし、まっすぐにこちら(インタビューしているディレクターなのだろうが)を見て話す姿勢に素直さを感じる。でも、恵まれた家庭の子ではない。問題を起こし、少年院にも入る。でも、出てくると、やっぱりシャイで素直な普通の男の子に見えて、すさんだ様子が見えないのだ。

だってテレビに顔出しして、追跡取材することを受け入れたんだからすごい。大人に対する信頼がなかったらそんなことはできない。過酷な環境でも、信頼を失わない子なのだ。

でも彼は親との関係がうまくいかず、16歳で自立することを求められる。一人きりで、「ばっちゃん」からも離れて。

彼がこの先まっすぐに生きていけるのかどうか、心配でならない。この子の根は歪んでいないのに、社会が歪ませてしまう。かろうじて「ばっちゃん」の愛情が、彼を完全に道を踏み外すことから逃れさせている。でも、それは今にも切れそうな細い糸でしかない。彼の無防備な瞳を見ているだけで不安で泣けてくる。

遠く離れた地で生活を始めて、改めて「ばっちゃん」のありがたさが分かったと、彼はこちらに向かっていう。昔は食堂のように思っていたけど、今は自分の親として会いたいと。

インタビューしているディレクターは、

「食堂だと思っていたわけ?」

と呆れたようにたずねる。食堂だと思われていたなんて、ばっちゃんが聞いたらどう思うかな、と。

これは余計なお世話の質問で、意地悪だ。しかし、それを聞かれた子は、軽々とその意地悪さを超越する。気分を害した風でもなく、ただ、簡単な算数の問題でも解くように、

「ばっちゃんなら、悪ささえしないならそれでもいいっていうと思う。よく電話してきたね、偉かった偉かったっていうと思います」

と答えたのだ。

この子がばっちゃんとの絆を手掛かりにして、正しく社会に出ていけるように、望む。

彼を取り巻く社会が、偶然でもなんでも、彼にいつも優しくありますように。