Je suis Charlieと言論の自由について

社会人とも思えないんですが新聞全然読んでなくて、TVニュースの端切れとYahooニュースだけでパリの事件を聞いていたので、ISIS絡みなのかなとぼんやり思っていたんですが、そういうわけでもないそうで。

 今日、BBC World Serviceを見たら、最初から最後までそればっかやってて、あちらではかなり動揺が広がっているんだと急に実感した。そうだよね、日本からフランスって遠いから「はあ〜」くらいにしか思わないんだけど。

それでネットでちょっと詳しく調べてみました。

成果は以下の通り:

1. 標的になったのはフランスの風刺漫画紙「Charlie Hebdo」。ちょっと過激というか、正直ゲスっぽい。
2. その雑誌のウェブサイトは襲撃された後一旦閉鎖された。その後、再開した時には真っ黒な画面にただ一言「Je suis Charlie」とあった。
3. 日本のwikipediaの「米国憲法修正第一条」の訳文は明らかに間違ってる気がするが、誰も指摘しないんだろうか。

1. 日本人的感覚では、主要5紙のどこかが襲撃されたから言論の自由を訴える、っていうのはしっくりくるんだけど、お下劣おちょくりマンガ紙が襲撃されて、スキャンダルとして大騒ぎするならともかく、すわ言論の自由!っていう論調になるのがちょっと不思議。政治色が強かったからかなあ。政治色の強い風刺漫画紙、というジャンルが日本にないんで、イメージしにくい。でも、かつては自分たちもおちょくられてたサルコジやオランドも、この事件について言論の自由が守られるべきだと非難している姿はなかなか好ましい。

2. 襲撃された後のその雑誌のウェブサイトもカッコよかった。このカッコよさもまた、日本人が真似できないものだ。「言論の自由を訴える」みたいな直接的な表現じゃなく、また犯人を非難する事務的な声明文でもなく、ただ一言「Je suis Charlie」。「私はチャーリー(フランス語読みだとシャルリー?)です」ということだけど、Charlieとは雑誌の名前であり、つまりその雑誌の精神性の象徴みたいなものだろう。その象徴を一言だけ、サイトのトップにもってきた。要するに、事件があった後でも自分たちの自由な精神はみじんも脅かされていない、まだここにしっかりと立っているんだテロリストめ!という大いなる宣言なのだと思う。こういうのを誰の真似でもなく、自分らのオリジナルで出せるってところに、欧米における「言論の自由」はお仕着せじゃなく自主的な、主体的なものなんだなって思わされる。

3. その関連で、「言論の自由」を定めているアメリ憲法の条文を読もうと思って、ググってみたらwikipediaが出て来たという次第。アメリカもfree speechとか大好物だろうから、憲法の条文なんか、さぞシンプルでかっこいいんだろうなと思ったので。government of the people, by the people, for the peopleみたいな感じですよ。
でも、こっちはなかなか手強くて。

Congress shall make no law respecting an establishment of religion, or prohibiting the free exercise thereof; or abridging the freedom of speech, or of the press; or the right of the people peaceably to assemble, and to petition the Government for a redress of grievances.

というのですがね。これの日本語のwikiの訳が、

合衆国議会は、国教を樹立、または宗教上の行為を自由に行なうことを禁止する法律、言論または報道の自由を制限する法律、ならびに、市民が平穏に集会しまた苦情の処理を求めて政府に対し請願する権利を侵害する法律を制定してはならない。

というのです。↓

権利章典 (アメリカ) - Wikipedia

最初の「国教を樹立」が後ろの文のどこにかかってるのかが分からない。なんとなく、「国教を樹立することを禁止する法律」なのかなって気がするんですけど、「国会は、国教を樹立することを禁止する法律を制定してはならない」っておかしくない?だいたい、respectingはどこに消えたんだ。religionが即「国教」なのかっていうのもあるけど…ただの一宗教ではないのかな。
私、これ、「宗教の誕生を奨励するような法律を、国会は制定してはならない」という意味だと思うんだけどなあ。で、次の英語は「しかし、その宗教が自由に活動することもまた、妨げてはならない」だと思うんだけどなあ。そうでないと意味が分からないじゃん。

別にどうでもいいことなんだけど、言論の自由を定めた合衆国憲法なんて、研究してる人日本にもいっぱいいるんじゃないかと思うんだけど、意外とネットでは見当たらないし、私みたいな疑問を持ってる人もいないようなのだ驚いた。まあいいんだけど。どうでもいい情報なら溢れてるのに、ネットって偏ってるなあ。