『ブタがいた教室』

ブタがいた教室 (通常版) [DVD]

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こういうテーマは、どうしても冷静な議論を超えてお互い感情的になってしまうものなので、自分と意見の違う人とあまり深く関わらないのが得策です。大人なら、そうやってかしこく立ち回りますが、小学生ぐらいだと全力でぶつかってしまうのだろうなと思いながら見てました。それだけにまっすぐ傷つけ合うこともしますが、その傷が深くても、驚異の回復力を発揮できるのも子供ならではかな、と。

最初は意見交換だったものが、次第に激しく対立し、取っ組み合いのケンカになり、泣き出し、長引く緊張にやがて疲れて行く子供達の心情がうまく描かれていました。かなり精神的にヘビーだと思いますが、クラス全体で受け止めたから折れずに済んだし、あの先生も生徒達としっかりした絆をあらかじめ築いていたからこそ、乗り越えられたんだろうと思います。

後半、一瞬、保健所送りというウルトラCが出るのか!?と思いましたが、最後まであの二択から逃げさせず、その内の一つを取らせたというのもよかったかな。私としては、最後そこまで行かなくてもよかったかな、とは思ったけど。生徒達が、自分の問題としてそれを深く受け止め、自分の力で考えるようになることが大事なのだと思うので、私もどっちかといえば食肉センター派ではあるけれど、やっぱりあれだけ可愛がって育てたものを手放すのは辛いだろうと思う。
たとえば養豚家の家に生まれていれば、同じ子供でももっと冷静に受け止められる。でも普段そういう環境にいない子供に同じ受け止め方を求めるのはちょっときついかも知れない。

ただ、映画では食肉センターに送らないなら三年生に任せるしかないっていう状態だったので、私も確かに、三年生には危ないかなという気はした。ブタが凶暴化するかもしれないしね。
映画の結論は食肉センターだったけど、監督がもっと恣意的であれば、ブタを凶暴化させる道だってあった。それで児童がケガでもすれば、イッキに解決だ。
でもそういう展開にしなかった。それは監督が公平を心がけようとしたからだと思う。

一生懸命考えようとする子供達の姿が心に残りました。私は、この問題に、ここまで向き合ったことはないと思う。だから、あの子達は私よりずっとえらい。
すっかり見はまってしまい、妻夫木くんのラブリーフェイスも殆ど目に留まりませんでした。笑
あ、いえ、彼はすごく上手かったですよ。相変わらず。ああいう先生いてくれると嬉しいね。
意外とYahoo映画では評価が低いんですけどね。たぶん、テーマのせいなんじゃないかな。こういうテーマは決して万人受けしないもんね。