『さよならメリルリンチ』
図書館で借りた一冊。
就職活動をしていた時に、金融関係を志望していながら金融経験がなかったので、
「果たして自分はほんとに金融に向いているのか?」
と疑問に思い、金融業界の内側を物語風に書いたものがないかと思ってこの本を手に取りました。
物語風でないと、金融知識を教科書風に書いたものは入り込めないと思ったので。
この話、よく書けています。
最初、
「メリルリンチに1年くらいしかいなかった人が書いた本なんて、表面しか見てないんじゃないか」
って思ってたんだけど、そうでもないです。結局、この人にウォール街は合わなかったんでしょう。環境に馴染めずに、自分の精神状態もギリギリのとこまで来て、最終的にクビになっちゃったのがちょうど1年とちょっとという時点だったということです。
めまぐるしく動く為替変動のスピードに翻弄されながら、人事の采配や仕事の割り振りがまるでデタラメに行われていきます。社内の政治関係も不公平が平気でまかり通ってる感じなのですが、やっぱり1人の人の書いた本なのである程度客観的に読む必要はあるかなと思います。
何しろこの人の奥さんに対する態度が信用なりません(笑)
自分の勝手でニューヨークへ奥さんを連れて来て、その時はニューヨークが最高の街だとさんざん焚き付けておいて、奥さんはそのために気に入っていた仕事も辞めたのに、メリルの内情が分かるにつれ
「ニューヨークなんてこんな最悪の街に、みんなよく住んでるな!」
みたいなことをしれっと言い出してしまう変わり身の早さは、いったいどういうことなんでしょう。奥さんに対する申し訳なさなんてちょろっとしか出ないです。まぁ、奥さんもそれで特に文句を言ってないし、最後は夫婦愛みたいなことで終わってるので、いいのかも知れないですが。
が、私はイヤだな~。こんな人が夫だったら。
と、批判的なことを書いてしまったけど、私が筆者だったとしても、メリルリンチの職場環境には馴染めなかったと思う。話半分に割り引いても、まだお腹いっぱいなくらい、私にはついていけない世界です。
まぁ、通訳の場合はそこで取引や何かを直接やるわけじゃないですから、何とかなるのかもしれませんが。
とりあえず、金融にこだわらなくてもいいのかなっていう気持ちにはなりました。
今の仕事を見てみても、私、合ってない気がするしね。