『ココ・アヴァン・シャネル』

JUGEMテーマ:映画館で観た映画
オドレイ・トトゥがあまり好きじゃないので、どうかなと思いましたが、やっぱりだめでした。

シャネルという人が実際にファッション界においてどのような役割を果たしたか、並みいるファッションデザイナーの中で、シャネルを特に際立たせていたものがなんなのかを、知り過ぎているくらい知っている人にとっては、あの内容で良かったかもしれません。
全体のトーンが、「"あの"シャネルも、ごく普通の、人間らしい悩みもあれば、思い通りにならない恋もあったんだよ」っていう感じで、だからこそ、シャネルについてよく知らない人が見たら、「若干お裁縫が他の人より上手い、でも全体としてわりと普通の、帽子屋の女主人の話」で終わっちゃう恐れがあると思います。

シャネル、確かに一流ブランドの一つではありますが、私はその程度しか知らないし、もっとキャリア上での彼女の独創性とか、ヒラメキみたいなのを見せてほしかった。そういう、表での華々しい成功があってこそ、プライベートでの葛藤や孤独がよく映し出されるんだと思うんですが。
そういう、ありがちな対比が嫌だったのかしらね。おふらんす映画ですからね。

っていうところまで書いて、他の人のレビューを見ていたら、ココ・アヴァン・シャネルって、「ココ・before・シャネル」の意なんですね。「いわゆる」シャネルになる前のシャネルだから、話としてはあれでいいのか。じゃあやっぱり、私が見る映画ではなかったのかな。

あの中で興味深かった人物はバルザンでした。
ああいう、二つの価値観の中間に立っている人は、他人に対する理解が深いけれども、結局一番貧乏クジをひいて、ツラい思いをするのかも知れない。