『マダム・フローレンス!夢見るふたり』

 

マダム・フローレンス!  夢見るふたり [DVD]

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久しぶりに映画を見た。

頼りにしているYahoo!映画のレビューではあんまり評価高くなかったので、それほど期待しなかったけど、これは良かった。しみじみと。

評価高くない人に多い意見は、シンクレア(夫)がフローレンス(資産家でオンチの奥さん)をそこまでして支える理由が分からない、というもの。
これはその通りだと思う。そこは細かく説明してない。なんなら二人がなぜ籍を入れてないのかもよく分からない。だから、二人の関係性に共感できるかどうかは、観る人が個人的に似たような経験をしたことがあるか、または性格的にたまたま共感できるか、にかかっているようなところがある。

自分は幸い、すんなり入ることができた。これは、人によるとしか言えない。

大感動とか、強く印象に残るようなものは何もない。そういう意味では、メリル・ストリープの演技がちょっともったいなくもない。あんなに歌が上手いのに、下手な歌い手の役までこなせるなんて、なんてこった、隙がなさすぎるぜメリル・ストリープ!(笑)

でも二人の間の優しい感情にしみじみと泣けたのだ。フローレンスは取り返しのつかない悲しみから逃げ切ることもできないまま、どこか手放しの、あけすけな生命力によって生きている。そのバランスの悪い生に、シンクレアという男は吊り込まれてしまう運命を持っているのだと思う。そういう男を演じるのにヒュー・グラントという俳優はうってつけだ。この人も、何かバランスの悪さを抱えて生きている気がするから。

金持ちのじいさんと結婚してた金髪のねーちゃんは良かったな。シンクレアのアパートでオールして、翌朝も妙に溶け込んでたし、あそこでシンクレアの愛人も見て、色々感じたんじゃないかな。そして、フローレンスのロックな生き方にどこかで共感したんだと思う。ああいうねーちゃんは粗野だが爽快で、かなり正しい直感を持っている。

ああいうタイプの人間がいると人生はめっぽう愉快になるのだが、最近は少なくなったよね。