『おとうと』補足

 今朝も通勤の電車の中で、思い出し泣きしちゃいました。
石田ゆり子演じるホスピスの奥さんが鶴瓶演じる鉄郎が息を引き取ったあと
「あなた、幸せね、大好きなお姉さんに看取られて」
みたいに言う台詞。
ほんとによかったなぁ、安らかに旅立てて、って思うと、もう、こうやって書いてても泣きそう(笑)
電車の中で泣くなや、って思いつつ、電車の中って一瞬油断するから、つい泣けたりしますね。

いくつか付け足します。ネタバレありますから、これから見に行く方は以下↓見ないでくださいね。

加藤治子(すいません、皆さん敬称略ですね)演じるおばあちゃん。
なんであんなに蚊帳の外に置かれてるのかなぁ?
「大事な話してるからあっちいってて」
とか、そこまで言われちゃうの?と思った。吉永小百合にそれ言われたら自殺したくなるよ。
あそこまで仲間はずれにされたら、そりゃボケちゃうんじゃないか。最後のシーンでそうなってるのは、何かのメッセージなのかな、と勘ぐってしまいました。
でも、あの役をやるのに加藤治子はちょっと知的すぎる気もする…。

キムラ緑子さん。ああいう役うまいのよね。
彼女も「ありふれた奇跡」がらみで知りました。
もう、慣れない上品な雰囲気の家に上がって、緊張で汗ダラッダラ、みたいなのが、ものすごいリアル。
ああやって本人の姉の家まで乗り込んで借金返せとか、図々しいとは思うんです。
でも、何なら貸した額以上にふんだくってやろう、みたいな下心はないんです。
ほんとに、誰でもいいから、返してほしいだけ。かなり腰は引けてるんだけど、お金が惜しくて、どうしても帰るに帰れない。
その心の葛藤が、よく出てました。ただ、あさましいとだけ思わせず、一緒にハラハラさせられました。

それと、姉と弟の情愛を描いた作品ですから、安易な監督であれば、きっと2人の幼少時代を入れただろうと思うんです。可愛い子役でも使って、ススキの野原でも一緒に走らせて。(笑)
でも、それが一切なかった。現在しかなかった。いい年をして、甘えた声で「ねぇちゃん、ねぇちゃん」と連呼するオジサンしかいなかった。
それが、鉄郎のせつない、のっぴきならない状況を物語るようで、真に迫りました。